令和6年度報酬改定による減算措置・減算されないための対策(虐待防止措置の未実施について)

2024.03.21 #報酬・加算・減算
虐待防止措置の未実施による減算

その1.虐待防止措置の未実施による減算

 

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定が4月1日から施行されます。 改定内容には減算措置の新設や見直しが含まれており、以下の4つが対象です。

 
  1. 虐待防止措置
  2. 身体拘束廃止
  3. 業務継続計画
  4. 情報公表
減算措置の意図を理解してきちんと対応すれば報酬が減算されることはありませんが、減算と聞いて不安に思われている障害福祉サービス事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回から、4つの減算措置についてそれぞれの内容と減算の回避方法を解説します。今回は「虐待防止措置未実施減算」についてです。      

虐待防止措置未実施減算とは

令和4年度から義務化された「障害者虐待防止措置」を実施していない障害福祉サービス事業所等は、基本報酬から所定単位数の1%が減算されます

障害者への虐待を未然に防ぐ取り組みの徹底を施設・事業所に促すことが目的であり、全てのサービス・事業所が対象です。

単に虐待をしなければよいというだけではなく、虐待の発生又はその再発を防止するための措置をきちんと講じている(防止措置の基準を満たしている)ことを示す必要があります。

 

虐待防止措置未実施減算の基準

(厚生労働省の資料を参照)

次の基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%を減算する。

① 虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図ること

② 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること

③ 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

 

何が減算の算定要因になるのか、施設・事業所は具体的にどうすればよいのかを順に見ていきましょう。

基準①虐待防止委員会を定期的に開催し、その結果を従業者に周知徹底する

減算の算定要因:虐待防止の委員会が年に1回も開催されていない

減算されないためには、

以下(1)~(3)の手順で虐待防止委員会の組織をつくり、委員会(会議)を年に1回以上開催し、通知文書で全職員に周知します。

(1)虐待防止委員会の組織体制図をつくる

委員会の委員長と虐待防止責任者を決めます。

(※虐待防止委員会の役割、活動内容は後述します。)

 
虐待防止委員会の委員長:各施設・事業所の管理者、あるいは法人単位の最終責任者(例:理事長)虐待防止責任者(虐待防止マネジャー):各施設・事業所の事業管理者や、各部署の責任者など(例:事務長、看護師など)
 

・委員会は施設・事業所単位ではなく法人単位の設置(複数施設での合同開催)でもOKです。

・虐待防止委員会と身体拘束の適正委員会の一体的な運営も可能です。

・委員長と虐待防止責任者が参加すればよく、最低参加人数は決まっていません。オンライン会議でも大丈夫です。

・職員の参加は必須ではありませんが、職員も主体的に虐待防止の取り組みに参加できる計画を検討しましょう。

・利用者や家族の参加は必須ではありません。しかし意見を聴くことは重要なので、利用者・家族との情報交換会などを定期的に開催することは有益で、委員会の議題・報告内容にもなります。

(2)委員会を年に1回以上開催し、議事録をつくる

委員会では虐待防止のための年間計画作成や進捗報告や、虐待やその疑い、あるいは虐待防止未遂案件の報告や改善策の協議などを行います。

 

(3)委員会の開催後に協議内容と協議結果の通知文書をつくり、全職員に通知する

通知は、施設・事業所の掲示板等、全職員が読める場所に掲示するなどして、必ず全職員に周知してください。

・委員会の協議報告だけでなく、「倫理綱領」や「行動指針」、「虐待防止マニュアル」なども全職員への周知を徹底しましょう。

・朝礼や職員会議などでも委員会の決定事項や指針の共有を意識的に増やしましょう。

・個人情報の保護に気をつけましょう。

以上(1)~(3)で作成した組織体制図、議事録、通知文書を保存し、提出しやすいように管理しておきましょう。

 

虐待防止委員会の役割

(厚生労働省の資料を参照)

虐待防止のための計画づくり

・研修の実施計画、虐待が起こりやすい職場環境や労働条件の確認と改善計画、行動指針の作成、マニュアルの作成と実施、など。

・年間計画をつくり組織的に運営しましょう。複数事業所を持つ場合はルールを統一しましょう。

虐待防止のチェックとモニタリング

・チェックリストや運用ルールなど、委員会へ情報が提供される仕組みをつくりましょう。

虐待(不適切な対応事例)発生後の検証と再発防止策の検討

・委員会が通報する・しないの判断をするのではなく、「まず通報する」を念頭に置きましょう。

「障害者福祉施設等における 障害者虐待の防止と対応の手引き(令和5年7月)」

 

のP43「参考資料」に、倫理綱領や様々なチェックリスト等が掲載されていますので、利用しましょう。

基準② 虐待の防止のための従業者研修を定期的に実施する

減算の算定要因:虐待防止に関する研修が年に1回も開催されていない

減算されないためには、

(1)虐待防止委員会で以下のような研修を年度初めに計画し、年度内に1回以上実施します。

(2)実施においては虐待防止責任者から担当者を決め、研修記録をつくり、役所や利用者に提出できるようにします。

考えられる研修の種類

厚生労働省の資料を参照

管理職を含めた職員全体を対象に、虐待防止や人権意識を高めるための研修

※厚生労働省の「職場内研修用冊子」を活用しましょう

  1. 職員のメンタルヘルスのための研修
  2. 障害特性を理解し適切に支援が出来るような知識と技術を獲得するための研修
  3. 事例検討、個別支援計画の内容を強化するための研修
  4. 利用者や家族等を対象にした研修

・支援員のみならず調理員や運転手、事務職員や、パート、短時間労働者も研修の対象にします。

・夜勤等の交代制勤務者が参加できる開催方法、経験年数や職種、役職、スキル等に応じた内容設定に留意しましょう。

・新規採用時には必ず虐待防止・身体拘束適正化研修を実施しましょう。

・事業所内研修の他、協議会や基幹相談が実施する研修に参加してもOKです。

基準③ 基準①・②の措置を適切に実施するための担当者を置く

減算の算定要因:虐待防止の対策に関する責任者を設置していない

減算されないためには、

基準①の(1)「虐待防止委員会の組織体制図をつくる」で決めた虐待防止責任者から、虐待防止活動ごとの担当者(研修担当者など)を決めます。

これが基準③の担当者に該当します。

以上が虐待防止措置未実施減算の基準と、減算にならないための方法です。

減算を回避するためである以上に、そもそも障害者への虐待防止は、障害のある方の人権の尊重や権利擁護の実現のために必要不可欠です。

虐待防止のための行動指針やルールを形骸化させないためにも必要な措置ですので、最低ライン(年1回の実施)はもちろんクリアしたうえで、障害者への虐待を未然に防ぐ取り組みを徹底しましょう。


 

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