【メリット・デメリットも解説】障害者グループホームの種類~戸建て型、アパート型、サテライト型グループホームの違い
2023.06.15 #グループホーム(共同生活援助)#サービス種別解説障害者グループホームには、戸建て型やアパート型、サテライト型という3つの種類があります。しかし、「それぞれの違いが、いまいちよく分からない」という方も多いでしょう。
そこで今回は、障害者グループホームの種類について紹介します。それぞれのメリット・デメリットもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
障害者グループホームとは
障害者グループホームは複数人の障害者が一緒に暮らす、いわば「シェアハウス」です。管理者やサービス管理責任者をはじめ、世話人、生活支援員といったスタッフが、障害者の生活を365日サポートします。
サービス内容によって、3つの類型に分けられる障害者グループホーム。それぞれの詳しいサービス内容や開業時の指定基準などについては、こちらのコラムを参考にしてみてください。
【運営者向け】障害者グループホームとは?知っておきたい基礎知識
障害者グループホームの3つの種類
障害者グループホームは共同生活援助施設とも呼び、障害福祉サービス受給者証を持っている方が入居できます。主に住宅地に設置され、地域社会や住民と交流の機会を確保し、地域社会への自立をサポートすることが目的です。
そんな障害者グループホームには住居形態の違いから、戸建て型やアパート型、サテライト型という3つの種類があります。それぞれの違いやメリット・デメリットは次のとおりです。
なお、障害者グループホームに最適な物件については、こちらのコラムで紹介しているのでぜひご覧ください。
戸建て型は一般的な共同生活を行うタイプ
戸建て型グループホームは、その名のとおり一戸建ての建物を活用します。介護スタッフが365日、交代制で入居者の生活をサポートするため、障害支援区分が比較的重い方の利用が多い傾向にあります。
就寝時はそれぞれの個室で過ごしますが、居間や食堂、トイレ、浴室などは共同です。余暇時間には、交流室などで過ごすことが多いでしょう。
なお、戸建て型グループホームは、消防法上「寄宿舎」として扱われます。そのため、既存の戸建て住宅をグループホームとして利用するには、廊下幅の改修や防火間仕切りの追加工事などが必要です。
メリット
戸建て型グループホームのメリットは、障害の重い方に対しても手厚い支援ができる点にあるでしょう。スタッフが365日サポートするため、利用者は安心して過ごすことができます。
デメリット
戸建て型グループホームのデメリットは、業務量の多さです。充実した支援が可能というのは非常に大きなメリットであるとともに、それだけ多くの仕事をこなさなければいけないことにもなります。
必要な世話人や生活支援員の人数も多くなり、人件費がかかる点も事業所側にとってデメリットになるでしょう。
アパート型は1人暮らしのような生活ができるタイプ
アパート型グループホームは、マンションやアパートなどの個室を活用します。1人暮らしのような生活を送れるため、障害支援区分が比較的軽い方の利用が多い傾向にあります。
居室には玄関やキッチン、トイレ、浴室が備え付けられており、完全独立型です。戸建て型グループホームとの大きな違いとしては、水道光熱費が個人契約となる点にあるでしょう。
また、他利用者と交流できるスペースもありますが、基本的には単身生活の練習として利用する方が利用します。「自立度が高いが、いきなり1人暮らしは不安」という方にぴったりなグループホームといえるでしょう。
メリット
アパート型グループホームのメリットは、業務量が全体的に抑えられる点にあります。利用者は1人で身の回りのことができる方が多いため、「常にそばについて支援をする」ということがありません。
また、必要な業務が絞られることで、スタッフに時間的・心理的余裕が生まれます。その分、利用者の心に寄り添った交流や心理的なケアを行いやすく、「居場所の提供」という障害者グループホーム本来の目的を存分に果たせるでしょう。
デメリット
アパート型グループホームのデメリットは、緊急時の対応が遅れやすい点です。利用者は個室で過ごすため、転倒や誤嚥などの事故が発生していても気付きにくいケースが少なくありません。
また、自炊を希望する利用者の場合、栄養がしっかり取れているかという心配もあります。いずれにおいても、日頃から密にコミュニケーションを取り、利用者の状態をしっかり把握することが大切です。
サテライト型は戸建て型とアパート型の間のような存在
サテライト型は、戸建て型やアパート型の「本体住居」に付随するアパートの1室を指します。利用者は主にサテライト型にある個室で過ごし、食事や余暇活動のときに本体住居へ通ります。つまり、共同生活を送りながらも、1人暮らしに近い経験も得られるのがサテライト型グループホームの特徴です。
利用者の障害支援区分は比較的低く、日常生活動作のほとんどを1人で行います。支援する側の業務内容としては身の回りの世話というよりも、家事のサポートや日々の相談がメインになるでしょう。
「完全自立は難しいけれど、大抵のことは自分でできる」という方に向いている住居形態です。
メリット
サテライト型グループホームのメリットは、支援施設が小さくても運営可能な点にあります。居住スペースが少ないため、土地の価格が高い都市部などでも十分運営できます。
また、業務量は3つの住居形態のうち、最も少ない点も大きなメリットになるでしょう。
デメリット
サテライト型グループホームのデメリットは、利用者に密着した支援が難しい点です。利用者との関わりが薄くなりがちなため、アパート型グループホーム以上に利用者の状態把握を意識的に行う必要があります。
戸建て型とアパート型、サテライト型のまとめ
ここまで紹介した障害者グループホームの種類と違いは、次のとおりです。
戸建て型 |
アパート型 |
サテライト型 |
|
特徴 |
少人数で共同生活を行う。 スタッフが24時間体制で常駐するためサポートを受けやすい。 |
アパート等で1人暮らしをする。 基本的に自炊しながら生活する。 希望すれば自炊や生活面でのサポートや定期的に交流室での食事会やレクリエーションがある。 |
普段はサテライト住宅1人暮らししながら余暇や食事は本人の希望に合わせて本体住宅で行う。 サポートを受けつつ1人の時間を確保できる。 |
入居人数 |
2~10名 |
1名 |
1名 |
設備 |
共有のキッチン・浴室・トイレ |
キッチン・浴室・トイレ付 |
|
食事 |
食事の提供あり 他の居住者と共に食事をする |
基本的に自炊 弁当や自炊のサポートもある |
本人の希望に合わせて自炊、本体住宅での食事を選択 |
余暇活動 |
交流室などで過ごす |
基本的に居室で1人で過ごす |
本人の希望に合わせて自室または本体住宅の交流室で過ごす |
水道光熱費 |
事業者が供給元と契約 |
居住者が個別に契約 |
事業者が供給元と契約 |
メリット |
【事業者】 ・重度障害者の支援が可能 ・些細な事故や危険にも対応できる |
【事業者】 ・業務の全体量が抑えられる ・利用者と関わる時間が十分に確保でき、ニーズに応えやすい |
【事業者】 ・居住エリアが必要ないので、必要な面積が少なくて済む ・業務量は最も少ない |
【利用者】 ・つきっきりの支援が受けられる ・家族のような距離感であるため、孤独感を感じにくい |
【利用者】 ・プライベート空間が守られている ・好きな時に世話人、支援員と関われる ・一人暮らしの練習になる |
【利用者】 ・日中のみの通所なのでややお手軽 ・支援が必要な時だけ利用できる |
|
デメリット |
【事業者】 ・業務量が非常に多い ・必要な職員の数は増える |
【事業者】 ・緊急時の対応が遅れやすい ・個室内での事故防止は難しい ・重度障がい者の支援はできない |
【事業者】 ・日常生活に密着した支援は不可能 ・重度障がい者の支援の支援ができない ・関りもやや浅くなる |
【利用者】 ・プライベート空間はほとんどない ・自由行動に制限が付く |
【利用者】 ・つきっきりの支援は受けられない ・個室内での事故は自己責任となる |
【利用者】 ・家族のような関りとはならない ・施設まで通う手間がかかる |
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障害者グループホームの種類や違いのほか、それぞれのメリット・デメリットをよく理解して、利用者に寄り添ったサービスを提供していきましょう。