障害福祉サービスの開業を制限する「総量規制」について

2026.03.16 #グループホーム(共同生活援助)#サービス種別解説#障がい福祉について


~その1.障害者グループホーム~

 

障害福祉サービスの開設には、法人設立から人員・設備基準の確保、そして自治体への指定申請など、多くのステップが必要です。 今回は、自治体(都道府県または市区町村)が新規の事業者指定(開業)を制限できる「総量規制」について、障害者グループホームへの影響を解説します。

 

総量規制とは

障害福祉における「総量規制」(事業所指定の制限)は、サービス供給が需要を大幅に上回ることを防ぎ、サービスの質と持続可能性を確保するための制度です。

規制対象のサービス事業所数・利用者数が、自治体の障害福祉計画で定められた「サービス等の見込み量」に達すると、自治体は新たな事業所の指定を拒否できます。

つまり、自治体が障害福祉サービス事業所数・利用者数の上限を決め、それを上回る事業所の新規開設や増員・増設ができなくなります。

障害者グループホーム(共同生活援助)開業の現状

近年、全国でグループホームの数が急増しています。 これまでは指定基準が比較的緩やかだったため、未経験の事業者が安易に参入し、一部の営利目的の事業者による虐待やトラブルが増加して、質の低下が懸念されています。

また、グループホーム等の急増により、障害福祉サービスを支える公費負担も大幅に膨れ上がっており、社会保障制度の存続のために費用の抑制が必要になっています。

そのため、これまでは「総量規制」の対象外であったグループホームについても、規制対象に加えるべきだと考える自治体が増えています。

厚生労働省の基本方針

「総量規制」の対象サービスは省令で規定されます。

現在、障害福祉サービス(障害者総合支援法)および障害児通所支援(児童福祉法)のうち、生活介護や、就労継続支援A型B型、放課後等デイサービスなどが総量規制の対象になっています。

厚生労働省の第7期障害福祉計画(令和6〜8年度)における総量規制(事業所指定の制限)の方針では、急増しているグループホーム(共同生活援助)への対策強化の一環として、グループホームにも総量規制が拡大される形です。

各自治体は、厚生労働省の基本指針に沿って、どこでどれだけのサービスが必要かを「サービス等の見込み量」として設定した障害福祉計画を作成します。ただし、重度障害者や医療的ケアが必要なケースなど、地域で供給が不足しているニーズに応える場合は、自治体ごとに規制の例外を設定できます。

※障害福祉計画は、障害者総合支援法に基づき、3年ごとに基本方針が見直されます。次の第8期障害福祉計画(令和9~11年度)は、令和7年度内の告示が想定されています。

 

参考【障害福祉サービス等における計画と指定の関係】 厚生労働省「障害福祉分野における地域差・指定の在り方について」 (63ページ)https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001571637.pdf

   

各自治体の総量規制

厚生労働省の指針を元に、地域の個別ニーズによって例外を設定したり、公募制を導入したりと、総量規制の実施判断と運用は自治体ごとに異なっています。

参考【総量規制の例外的な取扱:個別ニーズへの配慮に関する自治体の好事例】 厚生労働省「地域差の是正・指定の在り方に係る対応について」(4ページ) https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001605808.pdf

     

今後のグループホーム新規開業、運営における注意点

 

これまでは総量規制の対象外であったグループホームですが、今後は対象になり実際に規制をかける自治体が出てくると予想されます。

グループホームの新規開設・増設・増員を計画している場合は、規制強化前に前倒しでの対応が必要になる可能性が高く、物件を決める前に自治体の窓口でその地域でのサービスの必要性や制限状況を事前に相談・確認する必要があります。

また、総量規制と合わせて従事者の資格や実務経験についての要件も厳格化される見通しです。 自治体による指導基準や監査が厳しくなり、開業後や既存のグループホームの運営についても、これまで以上に支援体制の整備・ルールの遵守が求められます。

しかし、規制の目的は質の低い事業者の淘汰であるため、「質の高い事業所」へのニーズは今後一層高まると思われます。

社会福祉という本来の目的に沿った運営をし、重度障害の方の受け入れなど地域の必要性に応じた専門的なサービスを提供できる事業所にとっては、総量規制はむしろ有里な状況だと言えます。

制度が複雑化しているため、専門家に相談し、地域のニーズに直結するサービスの提供など質の向上、加算の活用、業務の効率化など、中長期的な戦略で経営の安定化を図りましょう。

 
 

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