障害者グループホームの人員配置基準と最適な人材採用方法

2023.11.10 #グループホーム(共同生活援助)#人材採用#経営について#障がい福祉について


障害者グループホームの指定申請時には、国が定めた「人員配置基準」の要件を満たす必要があります。しかし、サービス類型によって異なる点もあるため、「開業したい障害者グループホームに、どんな人がどれくらい必要かよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、障害者グループホームの人員配置基準について紹介。スタッフを採用するためのコツやノウハウも、合わせて解説します。

また、障害者グループホームについて基本的な内容を知りたい方は、こちらのコラムも参考にしてみてください。

【運営者向け】障害者グループホームとは?知っておきたい基礎知識

障害者グループホームの型によって変わる人員配置

障害者グループホームには、「介護サービス包括型」と「日中サービス支援型」、「外部サービス利用型」という3つのサービス類型があります。共通する人員配置は、次のとおりです。

職種 人員配置基準 資格要件
管理者 常勤1名 なし
サービス管理責任者 利用者30人以下:1名以上
利用者30~60人以下:2名以上
あり

管理者とサービス管理責任者(以下、サビ管)は、業務に差し支えない場合には他職種(世話人など)と兼務可能。

また、サビ管は一定の実務経験と所定の研修修了が必要です。実務経験は保有している資格によって異なり、最短で1年以上、最長で8年以上。実務経験における1年とは「180日以上」を指すため、例えば「5年以上」となれば「900日以上」の実務経験が必要になります。

さらに、サビ管は「相談支援従事者初任者研修」と「サービス管理責任者研修(基礎研修+実践研修)」の修了が資格要件の1つです。配置後には、5年ごとの更新研修も受講する必要があります。

一方、世話人や生活支援員などは、サービス類型によって人員配置基準が異なります。それぞれ見ていきましょう。

介護サービス包括型の人員配置

介護サービス包括型の世話人・生活支援員などの人員配置基準は、次のとおりです。

職種 人員配置基準(常勤換算)
世話人 利用者:世話人

=4:1、5:1、6:1

生活支援員 利用者:生活支援員

=2.5:1(区分6)

4:1(区分5)

6:1(区分4)

9:1(区分3)

夜間支援従事者 配置義務なし。

配置することで加算取得可。

日中支援従事者

世話人や生活支援員の人員配置基準は、利用者1人に対して必要なスタッフの人数を表しています。例えば、「利用者:世話人=4:1」とは、「利用者4人を1人の世話人が対応する」という意味です。そのため、「4:1」は「6:1」よりも手厚い介護ができ、おのずと報酬単価も上昇します。

また、世話人や生活支援員の人員配置基準は、常勤換算で計算する必要があります。常勤換算とは、「スタッフの勤務時間が常勤スタッフの何人分に当たるか」を算出したもの。具体的な計算方法は、次のとおりです。

例:利用者8名、世話人配置4:1の障害者グループホーム

  常勤スタッフの勤務時間が週40時間、非常勤(パート)スタッフの勤務時間が週20時間の場合、常勤・非常勤それぞれ何人必要なのか、ケーススタディをしてみます。

常勤換算で必要な世話人の人数(人)=利用者÷世話人配置

                 =8人÷4

                 =2.0人

このことから、常勤スタッフで満たす場合は「2人」必要となります。また、非常勤スタッフの必要人数は、次の計算方法で求められます。

非常勤スタッフの常勤換算(人)=非常勤スタッフの勤務時間÷常勤スタッフの勤務時間

               =20時間÷40時間

               =0.5人

非常勤1人あたり、常勤0.5人分です。

このことから、非常勤スタッフで満たす場合は「4人」必要となります。

常勤スタッフと非常勤スタッフの組み合わせで満たす場合は、「常勤スタッフ1人・非常勤スタッフ2人」が必要だということになります。

休憩時間を常勤加算の勤務時間に含められるかどうかは、こちらのコラムをご覧ください。

常勤換算は休憩時間を含んでいい?!常勤換算と休憩時間の考え方を徹底解説

日中サービス支援型の人員配置

日中サービス支援型の世話人・生活支援員などの人員配置基準は、次のとおりです。他のサービス類型と異なり、世話人と生活支援員のいずれかは「1名以上が常勤」という要件があります。

職種 人員配置基準(常勤換算)
世話人 利用者:世話人

=3:1、4:1、5:1

生活支援員 利用者:生活支援員

=2.5:1(区分6)

4:1(区分5)

6:1(区分4)

9:1(区分3)

夜間支援従事者 1名以上

(2名以上となった場合は

加配加算の取得が可能)

日中支援従事者 1名以上

外部サービス利用型の人員配置

外部サービス利用型の世話人・生活支援員などの人員配置基準は、次のとおりです。

職種 人員配置基準(常勤換算)
世話人 利用者:世話人

=4:1、5:1、6:1

※平成26年4月1日において現存する

事業所は当面の間10:1

生活支援員 配置義務なし
夜間支援従事者 配置義務なし

配置することで加算取得可

日中支援従事者

【職種別】障害者グループホームスタッフの採用ノウハウ

人材採用の画像

では実際に人員を確保するときには、どのような方を採用すれば良いのでしょうか。どの職種にもいえるのは、「人を相手にする仕事」ならではの思いやりや責任感、向上心が大切であるということです。

また、福祉の経験者がいいのか、資格の有無は考慮すべきかなどについて気になる方は、こちらのコラムも参考にしてみてください。

採用するスタッフは経験者、未経験者、どちらがいい?

管理者の採用

管理者の仕事内容は、利用者やスタッフ、運営など、施設全体の管理業務を一手に担うことです。そのため、マネジメント力やリーダーシップが必要不可欠。

福祉業界の経験があると、利用者の気持ちに寄り添った施設運営ができることでしょう。もちろん、福祉業界の経験がない場合でも管理者になることはできますが、介護や障害について自ら学ぶ姿勢が大切です。

以上のことから、採用の際には事業経営や管理職の経験の有無、施設運営に関わるさまざまなノウハウを学ぶ積極性などを見ると良いでしょう。

また、新規立ち上げの場合は、立ち上げ当初、経営自身が管理者として基本的な流れやポイントを押さえた上で、次期管理者を採用して引き継いでいく方法がスムーズです。また、サービス管理責任者に管理者を兼務させていくなどの方法も良いでしょう。

サービス管理責任者の採用

サビ管の仕事内容は、個別支援計画の策定など、支援内容の管理・指示です。また、他事業所・医療機関などとの連携を図るのも、サビ管の大切な業務の1つ。

そのため、サビ管を採用する際には、利用者やその家族、スタッフなど、さまざまな立場の人から想いを聞き出して調整するコミュニケーション能力があるか、見ていきましょう。

また、基礎研修修了・実践研修修了など、サビ管の資格取得状況によっても配置が異なる場合がありますので、そのあたりの確認も必要です。

ちなみに、サビ管は採用難が目立つ職種ですが、障害者グループホームのサビ管は常勤の必要がなく、さらにリモートワークも認められています。そのため、「パートリモートサビ管」や「副業リモートサビ管」で対応していく方法もあります。

その際は実運営をしっかりできる責任者の配置や、仕事の役割分担が重要になります。サビ管の確保・働き方についてお悩みの方は、ぜひ弊社へご相談ください。

世話人の採用

世話人の仕事内容は、食事の提供や利用者の健康管理、金銭管理などをお手伝いです。障害者グループホームの定員は10名以下のことが多く、大規模な入所施設よりもアットホームな雰囲気が特徴的。

世話人は利用者との距離感が近くなりやすいため、あたたかい対応ができる方、利用者の話をしっかり聞くことができる方がおすすめです。

また、「世話人」という職種名がお世話係、家政婦みたいな印象を与えて、何でもやってあげるというスタンスの方もいます。しかし、障害者グループホームは自立支援が目的なので、求職者のスタンスを確認することも大切です。

生活支援員の採用

生活支援員の仕事内容は、食事や入浴などの日常生活動作を介助することです。世話人よりも、どちらかというと肉体労働が多くなりやすいといえます。

そのため、肉体的・精神的な持久力を持った方、介護技術の習得に積極的な方を採用するようにしましょう。

ただし、実際の介護サービス包括型グループホームでは、世話人と生活支援員が兼務しているケースが多く、仕事内容に大きな違いを設けていないこともあります。

夜間支援員の採用

夜間支援員の仕事内容は、夜勤や宿直といった夜間業務がメインです。夜間に動く体力が必要なことはもちろん、人数が限られる中で利用者の安全を守る責任感も問われます。

日中支援員の採用

日中支援員は、日中サービス支援型や、介護サービス包括型の日中支援加算取得の際に必要となる人員です。

夜間支援員と同様に、世話人や生活支援員の配置に含めることができないので、適切な人員基準の計算と採用が必要となります。

障害者グループホームスタッフの採用を成功させるには?

採用をするにはまず求人をいろんな場所に出すところから! 無料でも出せる求人媒体は調べるとたくさん出てきます。SNSで求人募集の投稿をするのも若手の採用に有効です。

少しでも多くの求職者に見てもらえるように、1つの場所だけでなくとにかくたくさんの場所に求人を出すことが重要です。

しかし、その「まず求人を出す」というところに時間を割けずなかなか始められないという方も多くいらっしゃると思います。

弊社では、人材採用のスタートをお手伝いするサービスも行っております。人材採用や継続雇用についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

→【採用したい方へ】「人を採用したいが、採用活動をする時間がない」

スタッフを採用したあとの教育についてもしっかり準備が必要です。弊社では動画を見るだけで研修が完了するサービスを行っています!2024年4月より義務化の各種研修にも対応中!こちらも気になる方はお気軽にご相談ください。

→障がい者グループホーム向け「スタッフ研修動画」について

常勤・非常勤、正規・非正規など…それぞれ違いを正しく説明できますか?

それぞれ違いを正しく説明できますか?

①常勤・非常勤
②正規・非正規
③無期雇用・有期雇用
④パート・アルバイト
⑤専従・兼務
⑥常時使用する労働者・常用労働者

福祉事業は人員配置のルールに加え、労働基準法も正しく理解しておかなければいけません。
正しく把握していないと労働トラブルや請求の返戻の原因になります。
マイナス要素だけでなく、正しく把握することで助成金など取得することにも繋がります。


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