【運営者向け】障害者グループホームとは?知っておきたい基礎知識

2023.06.30 #許可(指定)基準#開業#開業ノウハウ公開


「障害者グループホームの開業を検討中だけど、どのようなコストがかかるのかよく分からない」「運営する中でしっかり収益が出るのか、不安に感じる」障害者グループホームの開業や運営において、このように悩んでいる方は少なくありません。

そこで今回は、障害者グループホームの運営に興味がある方が知っておきたい基礎知識について紹介します。給付金から得られる推定売上も、合わせて解説。障害者グループホームの開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、障害者グループホームの開業については、こちらのコラムでも解説しています。

【プロ直伝】障害者グループホームを開業するには?~立ち上げるまでに本当に必要なもの~

その他の障害福祉サービスについて興味がある方は、こちらのコラムをぜひご覧ください。

障害福祉サービスとは~利用対象者・種類・入所について徹底解説~

障害者グループホームとは

障害者グループホームとは、障害のある方が「地域社会の中で共同生活を営む住まいの場」です。入所施設と比較すると少人数を対象にしており、新築の場合2~10名、既存の場合は2~20名の入居が可能。

ここでは、利用対象となる方やサービス内容、利用者数の推移など、障害者グループホームの基礎知識を紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

利用対象となる方は?

障害者グループホームの対象者は、障害支援区分の程度に制限はありません。一方で、年齢制限はあり、原則「18歳~64歳」の障害者が対象となっています。ただし、次の2つについては例外です。

1つ目は、「児童相談所長が利用を認め、市町村長へ通知した場合」。この場合は、15歳以上の方も障害者グループホームの利用が可能となります。

2つ目は、「65歳になるまでに障害者グループホームを利用していた場合」。この場合は、65歳以上になっても継続利用が可能です。

ちなみに、知的・精神障害者は65歳以上でも利用を開始できますが、身体障害者は条件があります。それは、「65歳未満に達する前日までに、障害福祉サービスの利用経験がある」ということ。この条件を満たさない限りは、65歳以上の身体障害者は介護保険サービスの利用が優先されます。

サービス内容は?

障害者グループホームのサービス内容は、主に夜間における食事や入浴などの介護です。また、日常生活上で困っていることなどについて相談を受けるといった援助も。利用者の就労先や日中活動サービスなどとの連絡調整、余暇活動などの社会生活上の援助も、利用者それぞれのニーズに合わせて行います。

いずれも「自立支援」を目的としたサービス内容となっており、地域の中で暮らしたい方や単身生活へ移行する前の練習をしたい方の支援が主となっています。

利用者数の推移

障害者グループホームの利用者数は、年々増加しています。下記の表は、平成29年度から令和元年度における利用者数の推移です。各サービス類型の詳細については、後述の「障害者グループホームの4つの運営方法」をご覧ください。

平成29年度 平成30年度 令和元年度
合計 112,117人 119,269人 127,525人
介護サービス包括型 95,361人 102,431人 110,266人
外部サービス利用型 16,756人 16,338人 15,838人
日中サービス支援型 — ※ 500人 1,421人

※日中サービス支援型は平成30年度よりサービス開始

この表を見るとわかるとおり、特に介護サービス包括型の利用者数が急激に増加。平成30年度時点での在宅障害者数は「886万人」といわれており、今後も高い需要が続くと予想されています。

障害者グループホームの4つの運営方法

障害者グループホームの運営方法には、次のような4つのサービス類型があります。

①介護サービス包括型

自社で人員を配置してサービスを提供する、オーソドックスな運営方法。

②外部サービス利用型

外部からヘルパーを派遣してもらい、利用者の身の回りを手伝ってもらう運営方法。

③日中サービス支援型

日中も利用者がホームで生活し、24時間体制で支援を行う運営方法。

④サテライト型

障害者が一人暮らしをする手助けをする運営方法。

障害者グループホームの3つの設置基準

勘違いされている方が多いのですが、障害者グループホームの開所やサービス提供には、「許可」や「認可」は必要ありません。サービス提供の対価として給付金を受けるために「指定」の申請が必要なのです。

つまり、障害者グループホームは誰でも主体となって行うことができますが、指定申請をしない限り、収益の主となる給付金を受け取れないことになっています。

また、指定申請の際には、次のような法人の設立が必要です。

・株式会社

・合同会社

・一般社団法人

・特定非営利活動法人(NPO法人)

・社会福祉法人 など

法人設立後は、定款の事業目的欄に障害者グループホームを行う旨を明記します。

【記載例】

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」

その上で、「運営基準」「設備基準」「人員基準」という3つの指定基準を満たすよう、開業準備を進めていきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

運営基準

障害者グループホームの運営については、主に次の3つが定められています。

・事業者は個別支援計画を作成し、これに基づいてサービスを提供する。

・事業者は、利用者やその家族の意思、人格を尊重しながらサービスを提供する。

・事業者は、利用者の人権擁護や虐待の防止に必要な体制の整備を行う(従業者に対する研修など)

また、運営規程には、次のような項目についても明記しておきましょう。

・事業所の名称や所在地

・事業目的や運営方針

・営業日や営業時間

・利用者定員

・サービスの内容

・サービスに関する費用

・苦情解決の処置 など

設備基準

障害者グループホームの設備基準は、次のとおりです。

設置場所

・住宅地または住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が 確保される地域にあること

・入所施設または病院の敷地外にあること

最低定員

・事業所全体で4人以上

・共同生活住居1か所あたりの定員は2人以上10人以下

 (既存の建物を利用する場合は2人以上20人以下)

居室

・原則個室(サービス提供場必要と認められる場合は1居室2人も可)

・居室の広さは収納設備などを除いた7.43㎡(約4.5畳)以上

交流を図る設備

・居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備

 (居間と食堂を1つの場所とすることも可)

台所・トイレ

洗面所・浴室

・10名を上限とする生活単位ごとに区分して配置

人員基準

障害者グループホームの人員基準は、サービス類型によって異なる場合があります。下記の表は、介護サービス包括型の人員基準です。

職種

人員配置基準

管理者

・常勤1名

 (他の職務、または他の施設などの職務に従事可能)

サービス管理責任者

・利用者30人以下:1名以上

・利用者30~60人以下:2名以上

世話人

・利用者:世話人=4:1、5:1、6:1

生活支援員

・利用者:生活支援員=2.5:1(区分6)

・利用者:生活支援員=4:1(区分5)

・利用者:生活支援員=6:1(区分4)

・利用者:生活支援員=9:1(区分3)

の合計数以上

夜間支援従事者

配置義務なし。配置することで加算取得可。

日中支援従事者

サービス類型ごとの人員基準とその採用については、こちらのコラムを参考にしてみてください。

障害者グループホームの人員配置基準と最適な人材採用方法

また、障害者グループホームの開業を検討している方は、こちらのコラムも一読することをおすすめします。

【プロ直伝】障害者グループホームを開業するには?~立ち上げるまでに本当に必要なもの~

障害者グループホームの推定売上:介護サービス包括型

障害者グループホームの開業について興味があっても、「実際はどれくらいの収益があるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。そこで最後に、給付金から得られる障害者グループホームの推定売上を紹介します。

給付金の金額は、「世話人配置区分」「入居者の数および障害支援区分」によって変動します。具体的な例は、次のとおりです。

例:入居者4名で障害支援区分2、世話人配置4:1。夜間支援体制Ⅰで給付費を計算

世話人配置4:1 区分2  292 単位×4(入居者数)×10(地域)=11,680

夜間支援体制1  区分2   224 単位×4(入居者数)×10(地域)=8,960

=(①+②)×30(日数)=月の推定売上(給付費)619,200

※地域により1単位当たりの金額が変動します。
※別途行政単位での加算や職員処遇改善加算、日中支援加算、帰宅時支援加算等は計算に含めず。

まとめ

障害者グループホームは、障害を持つ利用者の親元を離れて生活することへの不安な気持ちを支えることや、集団生活に慣れる場所を提供することが出来る社会的意義のある事業となります。

しかし、経営という観点からみると、一つの住居で黒字を出すのはなかなか難しい事業です。障害者グループホームの収益を黒字化するためには、1事業で3~4住居を運営し、更新される加算を学び、申請を適宜行い、「全体で黒字になるような運営方法」が必要となります。

障害者グループホームの開業・運営する方は、今回の内容を参考に黒字経営を目指していきましょう。